
2025/02/01
── 「やるべきこと」はあっても、「やれる時間」がなければ始まらない
新しい戦略が立ち上がるとき、方針やアクションプラン、KPIはとても丁寧に整理されていることが多いように思います。
方向性もロジックも共有され、資料もきれいにまとまっている。
けれど、いざ現場に落としたときに「動かない」「止まってしまう」という声が出るのもまた、よくある光景だと思います。
そんなとき、私はよくこう思います。
「この戦略、“やる時間”まで設計されていただろうか?」
「やるべきこと」は分かっている。でも「いつやるか」が決まっていない
週次の定例ミーティング、日々の問い合わせ対応、日常業務の合間に割り込んでくるさまざまなタスク。
その中に、新しい施策やプロジェクトが静かに紛れ込んでいく。
もちろん優先度は高いと分かっている。
でも、実際に“どの時間帯でやるのか”がはっきりしないまま始まってしまう。
その結果、「意識はしているけれど、手が動かない」状態が続いてしまうのです。
戦略に必要なのは、スライドより先に“カレンダー”かもしれない
提案のときは、「これを来月から始めましょう」と言える。
けれど、その裏で実務メンバーのスケジュールはすでにMTG・納期・細かい対応でいっぱいになっていたりします。
戦略の実行とは、「新しいことをやる」だけではありません。
それを「週のどこに組み込むか」まで考えることだと思っています。
「誰がやるか」の前に、「その人に時間はあるか」を考える
プロジェクトオーナー、実務リーダー、関係部署。
担当者は明確になっていても、その人の1週間の中に“動く余白”があるかどうかが見落とされることは少なくありません。
この人、すでに週3で重要な会議がある
このチーム、納品対応で3週先まで詰まっている
この内容、集中しないと考えられないものなのに、30分単位の隙間しかない
実は、時間の話をしないまま進めてしまうことが、戦略が止まる大きな要因になっているのではないかと感じています。
時間の再設計も、戦略の一部
新しいことを始めるということは、同時に何かをやめる、減らす、移す必要が出てきます。
それは「予算」や「組織体制」だけでなく、“人の時間の使い方”も含まれているはずです。
この施策に、誰がどの時間を使うのか
既存の業務をどう調整するか
週次でどう守られる仕組みにしていくか
これらがあらかじめ設計されていれば、戦略は現場の中で動き始めやすくなります。
最後に
戦略が「言っていることは正しいけど、誰も動けていない」と感じるとき、
その背景には“時間”の見落としがあることが多いように思います。
あらためて、スライドの先にあるものとして、現場のカレンダーを見てみること。
それが、「この戦略は本当に動ける状態にあるか?」を見極めるヒントになるのではないでしょうか。