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2025/04/01

パリの非公式ショーって、実際どんな空気?

パリの非公式ショーって、実際どんな空気?

パリの非公式ショーって、実際どんな空気?

── 熱気が渦巻く、リアルな「その日」の記録

ファッションの街・パリ。
そのコレクション期間中、カレンダーには載らない“非公式”のファッションショーが、街のあちこちで開催されています。

今回は、そんな一日の記録をご紹介します。

朝――静かな戦場の始まり

朝、まだ陽が登りきらないうちに会場へ向かいました。
そこはすでに、“静かな戦場”と化していました。

モデルたちは次々と到着し、メイクアップアーティストたちに囲まれて、ひたすら準備が進んでいきます。
一方で、デザイナーたちは自ら手を動かし、セッティングやショーケースの設営に奔走していました。
誰もが余裕などなく、全員が“自分の5分間”のために全力を注いでいる――そんな空気が漂っていました。

会場の熱が上がっていく

この非公式ショーには、世界中から10数名のデザイナーが集まり、2日間にわたってランウェイが行われます。
会場にはショーだけでなく、各ブランドのショーケースやアートピースも展示されており、空間そのものが“新しい何か”を生み出す装置のようになっていました。

オープンの時間が近づくにつれて、徐々に人が集まり始めます。
ファッションバイヤー、ジャーナリスト、スタイリスト、スカウト、インフルエンサー、そして一般の来場者まで。
皆、ここに“まだ発掘されていない才能”があると知っていて、それを目撃しに来ているのです。

そして何より、それを「誰よりも早く見つけたい」という熱が、会場の空気をピリつかせていきます。

ショーが始まる

音楽が鳴り、ランウェイが始まります。
数百人規模の人々の視線が、一つの空間に集中します。
照明、衣装、演出、モデルの歩き方――すべてがそのブランドの世界観をつくりあげています。

観客は静かに、しかし真剣に“目撃”しています。
誰もが、自分の中に何か引っかかるものを探しているようでした。

終演とともに動き出す「結果」

ショーが終わった瞬間、空気が一変します。
先ほどまで沈黙していた観客が、一斉に動き出すのです。

デザイナーのもとには、ジャーナリストが近づいて「取材させてほしい」「誌面に掲載したい」と話しかけてきます。
スカウトやバイヤーは、「このルックをうちで扱えないか?」「POPUPの可能性はあるか?」と商談を始めます。
そのままショーケースブースに移動し、商品をチェックしたり、連絡先を交換したりと、熱が途切れることはありません。

ショーが終わった瞬間から、すでにチャンスの争奪戦が始まっているのです。

すべての人にとっての「賭けの場」

この場所には、表現と結果が同時に存在しています。
出展する側も、見に来る側も、全員が本気です。
誰一人として、“ただ見に来ただけ”という人はいません。

それが、この空間の緊張感と熱量を生み出している理由です。
“可能性を掴みに来た人たち”が、一堂に会する場所――それが、非公式ショーなのだと実感しました。

最後に

非公式ショーというと、“フォーマルではない場”という印象を持たれがちかもしれません。
しかし、実際はまったく逆です。
そこには、未来を切り開こうとする者たちの、むき出しの覚悟と熱気がありました。

そして、それを“見つけ出そうとする目”が、同じだけ集まっていたのです。

あの日の会場は、まさにその両者が交錯し、「表現が、実績へと変わる瞬間」が繰り返し起きる場所でした。

あれは、ただのショーではありません。
あれは、人生を賭ける人たちの、舞台だったのです。